切削加工(せっさくかこう)とは、金属やプラスチックなどの材料を工具で削り取り、目的の形状や寸法に加工する技術です。
簡単に言うと、切削加工とは「切って、削って加工する」ことを指します。
非常に精密な加工が可能で、自動車部品や機械部品など幅広い分野で活用されています。
切削加工は、高精度の製品を効率的に作るための重要な製造方法です。
この記事では、切削加工とはどういった加工方法なのかを解説していきます。
1.切削加工の基礎知識
切削加工は大きく分けて2種類ある
切削加工には大きく分けて2つの方法があります。
・旋削(せんさく)
加工物を高速回転させて工具(切削する)に当てる加工方法
・転削(フライス加工と呼ぶ方が代表的)
加工物を固定し、工具を回転・移動して当てる加工方法
旋削(センサク)加工
加工物(材料やワーク)を回転させて削る
主にNC旋盤を使って加工 参考:NC旋盤って何?NC旋盤の仕組みを解説!
丸棒状の材料を使用するので円筒(エントウ)形状の加工に最適
機種によっては四角や六角などの形状も加工も可能
転削(フライス加工)加工
材料やワークを固定し工具を回転させて削る
立方体などの材料や、追加工など平面の加工に最適
円弧形状に加工することも可能
切削速度(削っていくスピード)の速い遅いのメリット・デメリット
切削速度とは1分間に切削する速さを表します。
早いメリット・デメリット
【メリット】加工精度が高い・加工時間は短い
【デメリット】刃物への負担が大きい
遅いメリットデメリット
【メリット】刃物への負担が小さい
【デメリット】加工精度が低い・作業時間が伸びる
加工可能な材質
加工可能な材質は簡単に分けると
鉄
ステンレス
アルミ
銅
プラスチック
などの材質が加工可能です。
弊社が加工可能な材質は
をご覧ください。
切削加工をするときに接触面はどのくらいの温度になるの?
切削時に発せられるエネルギーを「切削熱(せっさくねつ)」といいます。
削速(切削速度)や対象の形状、材質にもよりますが、温度は600度〜1000度になります。
非常に高温になるため、加工時は”切削油”と呼ばれる冷却用の油をかけながら加工します。
工作機械の剛性(ごうせい)
"剛性(ごうせい)"とは、外から作用する力に対し変形のしづらさの度合いのことを言います。
変形が小さい(変形しづらい)時は剛性が高い
変形が大きい(変形しやすい)時は剛性が低い
といいます。
工作機械において剛性とは、加工精度の安定性や機械の頑丈さと言った本来の剛性以外の条件も含め、安定した製品を加工することができる機械を「剛性の高い機械」と、ひとまとめに呼ぶことが多くあります。
加工する製品が重量物や大型である場合、機械が対象物を保持する力は多く必要となり、機械の剛性が十分でないと対象物の重さにより、工作機械に歪みが生じたり加工精度に影響が出ます。
剛性は機械の構造的なスペックともいえます。
加工精度は切削条件や工具、材質など、さまざまな要因が影響しますが、この条件を整えても根本的に剛性が低いと良い精度は出ません。
逆に剛性が高ければ、高い精度で安定した製品を加工することができます。
2.切削油や工具の選定と管理
切削加工における切削油や工具の選定と管理は、生産性を高め、品質の向上に大きな影響を与える重要な要素です。
切削油の選定
切削油は、切削プロセス中に生じる熱や摩擦を軽減させ、切削工具や加工製品の表面の仕上がりを向上させます。
加工材料や切削条件に対応した切削油を選定する必要があります。
切削工具の選定
切削工具の種類や材質、刃先形状などは、加工材料や加工条件に合わせてた適切なものを選択する必要があります。
切削速度、送り速度、深さなどの加工に合った条件で、工具や種類を選んでいきます。
切削油や工具の管理
切削油や工具の最適な管理は、加工品質を良くし、作業効率を上げる為に不可欠な条件です。
切削油は定期的に補給をし、汚れや金属片を取り除くことで効果を維持することができます。また、適度な濃度や循環システムの管理も重要になります。
切削工具は定期的なメンテナンスや使用時のチップの交換により刃先を鋭利に保ち、使用寿命を確保します。
切削条件の最適化
切削条件(切削速度、送り速度、切削深さ)を適切な設定にすることにより切削工具や切削油の効果を上げることができます。
切削条件の最適化は、加工品質の向上や加工効率の向上に繋がっていきます。
3.安全性と品質管理の重要性
切削加工において品質管理と安全性は非常に重要です。
品質管理は、製品の品質を確保することで顧客満足度を上げる為に欠かせない条件です。
切削加工では、加工精度や寸法の正確さ、表面仕上げの品質などが重要な要素となります。品質管理は適切な検査手順、ルールの厳守や検査技術が必要です。
安全性も加工するうえで非常に重要です。
作業者が安全な環境で作業できることにより安心して作業に集中することができます。
集中力が高まることでミスが減り、品質が向上します。
つまり、切削加工において、品質管理と安全性の両方が同じように重要で適切な取り組みが必要になってきます。
それにより、作業者やお客様、企業全体の利益を守ることに繋がっていきます。
4. 切削加工の精度
切削加工の精度は、製品の品質や機能に直接影響を与える非常に重要な要素です。
数ミクロン(μ)外れてしまうだけで、組み立てられないなどという事になる場合もあります。
私たちが実際に加工する上で求められる単位は
μ(ミクロン)=0.001mm(ミリメートルの1000分の1)です。
普段、あまり聞きなれない単位なので下に身近な物の大きさの例を挙げてみます。
ミジンコ | 1.5mm~5mm(1500μ~5000μ) |
紙 | 0.07mm(70μ) |
スギ花粉 | 0.03mm(30μ) |
ラップ | 0.01mm(10μ) |
PM2.5 | 0.0025mm(2.5μ) |
全ての製品で数ミクロンという精度は求められませんが、多くの場合は非常に精密な精度が求められます。
また、切削加工では数μ(ミクロン)での加工精度を安定して作り続けることが難しく、多くの場合は目標寸法より少し大きく作り、後工程で研削(研磨)することで目標の寸法に仕上げます。
これによって、製品の品質や信頼性を確保することができます。
5. 加工品の実用例
◆自動車産業
自動車のエンジン部品や車体の取付部品の製造において、切削加工は欠かせません。
エンジンのシリンダーヘッドやブレーキディスクなどの高精度な部品は、ほとんどの場合切削加工によって製造されます。
◆航空宇宙産業
航空機や宇宙船の部品は、軽量化や高強度化、何より加工精度が求められるので精密な切削加工が重要です。
エンジン部品や機体構造部品などは、適した材料を使用し複雑な形状や、非常に精度の高い部品が切削加工によって製造されます。
◆産業機器の部品
切削加工は、ポンプやバルブ、モーターなどの産業機械の部品製造にも広く利用されます。
具体的には精密な歯車、軸受、ネジ、などが含まれます。
大きなものを動かすために欠かせない小さな部品一つ一つにも精密な切削加工が必要です。
6. 切削加工のまとめ
切削加工は、「切って、削って加工する」ことを指します。
その言葉の中には、旋削加工、フライス加工など様々な加工方法があります
非常に多くの分野の製品を生み出す重要な技術です。
それぞれの加工方法には基礎知識が何より重要で、それをもとに抑えるべきポイント、応用、効率化など様々な要素が複雑に絡み合っています。
その中で加工技術や工具は日々進歩し、非常に高精度な部品や複雑な形状を求められています。
難しい加工に対応していくことで、汎用製品の品質や生産効率が向上し、技術の進歩によりその応用範囲が拡大していくことができます。
弊社では、さらに技術を磨き、お客様の要望に応えるために日々努力しています。
精密部品の加工をお考えなら、ぜひ弊社にご相談ください!
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