NC旋盤(エヌシーせんばん)って聞いたことありますか?
NC旋盤は精密な金属の切削加工を行うための設備です。
ヤマトにも非常に多くのNC旋盤があり、日々様々な製品を作り出しています。
まずは、簡単にできることを紹介します。
NC旋盤でできること
数値制御による精密な切削加工
数値制御による安定した品質での加工
プログラムによる連続自動加工
この記事ではNC旋盤とは何なのか、どのように加工していくのかなど、初心者の方や初めて見る方にもわかりやすく解説していきます。
NC旋盤(エヌシーせんばん)とは
切削加工時に人間の手によって行われていたレバーやハンドル操作などを数値制御(NC: Numerical Control)装置で制御できるようになったのが、NC旋盤です。
刃物台の移動距離や速度などを、数値で制御できるため、作業者による品質やリードタイムのバラつきが減少しました。
その後、コンピューターを用いた数値制御(CNC:computerized numerical control)により、さらに複雑な加工を高精度で行えるようになります。
現在は、ほとんど機械がコンピューター制御となり、総称してNC旋盤と呼ばれています。
切削加工についての記事もありますので、参考にしてください▼
様々な形状を作る仕組み
基本的にはNC旋盤で使用する材料は円筒状の棒です。
NC旋盤内で回転させた材料に刃物をあてる事で、材料を様々な形に削り出します。
加工する材料(ワーク)を回転する土台(チャック)で掴み、様々な形状の切削工具(バイト)を刃物台に取付て切削加工を行います。
身近でイメージに近いのは、リンゴの皮むきになります。
リンゴ(ワーク)を手(チャック)で掴み、逆の手(刃物台)に固定した包丁(バイト)にあてながら回転する事で、リンゴの皮がむけていきますよね。
同じような仕組みを剛性(ごうせい)の高い機械で行う事で、硬い金属もバリバリ削る事ができます。
※剛性(ごうせい):加工精度の安定性や機械の丈夫さ、切削するパワーの大きさを指します。
このような手動で操作する旋盤を、汎用旋盤と呼んでいます。
下の動画が実際の加工の様子です。
この動画は汎用旋盤ですが、材料を回転させて刃物で削るという部分ではNC旋盤と全く同じ仕組みです。
NC旋盤の構造と機能
次にNC旋盤の内部構造やその機能についてご紹介します。
機種によって形状や仕様は異なり、得意な加工や加工可能な形状が変わってきます。
操作盤(そうさばん)
NC旋盤に様々な指令を出すためのボタンや、プログラムを作るためのキーボードやプログラムや機械の状態を確認するための画面があります。
給材機(きゅうざいき)
加工に使用する材料をストックしておき、材料が短くなり、加工できない長さになったら自動的にNC旋盤に供給する装置です。
切削室(せっさくしつ)
製品の加工はこの中で行われます。
チャック・バックチャック
チャックは材料や加工物を保持するための装置です。
多くの場合、油圧を電子制御することで開閉します。
刃物台(はものだい)
バイトやドリルなどの切削工具を取り付けることができます。
写真のように多角形の各面に工具ホルダーを取り付けるタレット刃物台や、バイトを髪をとくために使う櫛(くし)のように横並びに取り付ける、くし刃刃物台があります。
バイト・ドリル
加工用の刃物の名称で、刃物台に取り付けます。
バイトは和製語で、英語圏ではカッティングツールやターニングツールといいます。
ドリルは穴あけ加工が必要な際にとりつけます。
NC旋盤の主な機能と特徴
NC旋盤で加工できる大きさ
NC旋盤の各モデルは特定の「最大・最小加工径」と「最大加工長さ」が設定されており、設定の範囲内で加工可能な材料のサイズを決定します。
NC旋盤の加工可能なサイズは機械の仕様書を確認することが最も確実です。
具体的な加工可能サイズやその他の機ついて正確な情報を得ることができます。
NC旋盤できる主な加工内容
NC旋盤は、プログラムされた指令をもとに自動で材料を加工することができます。
主に金属加工に用いられることが多いですが、プラスチックなど他の材種にも使用されます。
NC旋盤で行う加工には以下のようなものがあります
-外径加工-
材料の外周を削り、所定の形状や寸法に加工します。
円筒形や円錐形など、さまざまな形状が可能です。
-内径加工-
材料の内側を削り出し、穴を開けたり内部の形状を作り出します。
精密な寸法の穴あけや内面の仕上げが可能です。
-面取り-
材料のエッジに斜面を作る加工です。
尖った角を滑らかにすることで、製品の安全性を高めたり、組み立てやすくします。
-ねじ切り-
内部や外部にねじ山を切る作業です。
ねじの種類やピッチ、深さなどをプログラムで制御し、精密なねじ加工が行えます。
-溝切り-
材料の表面に溝やキー溝を加工することができます。
部品同士を組み合わせる際に重要な役割を果たします。
-削り出し-(フォーミング)
複雑な形状やパターンを材料から削り出すことが可能です。
NC旋盤のプログラミングと多軸制御により、高度な形状の実現が可能です。
NC旋盤のメリット・デメリット
NC旋盤を導入するメリット・デメリットを解説します。
メリット
繰り返し作業の自動化により、生産性が向上。
従来人の手で操作していたものが自動化されることで生産性が向上します。
安定した品質の加工が可能
プログラムの指示通り同じ動きができるので、品質が安定します。
自動加工中に作業者は他の作業ができる
自動加工が始まれば、機械が自動的に加工していくので作業者は他の作業ができます。
デメリット
機械の導入に広いスペースが必要
機械の1台当たりの大きさが給材機も含めると数メートルにもなります。
機械の導入コストが非常に高い
1台当たりのコストが高く、簡単に増やしていくこは難しいです。
プログラムの作成・調整・変更などの段取りには作業者の技術力が伴う
プログラムの作り方や工具の選び方で製品の出来栄えは変わってしまうので、技術者の知識や経験が必要です。
NC旋盤を扱う上での注意点
正確なプログラミング
プログラムに誤りがあると、出来上がる製品に品質上の問題が発生する可能性があります。
また、機種によっては機械内で工具や材料が干渉、衝突し機械や工具が破損する場合があります。
そのようなことを防ぐためにプログラムを慎重に作成し、必ず動作確認することが重要になります。
定期的な点検と保守
NC旋盤は精密機器であり、定期的な点検やメンテナンスが必要になります。
日常的には各油類が足りているか、動作音に異常はないかなど点検、保守することで、機械のトラブルを未然に防ぐことが大切です。
安全な作業を心がける
NC旋盤は金属を削ることのできる非常にパワーのある機械です。
パワーがある分、使い方を間違えると重大な事故につながる危険が伴います。
また、加工するための刃物は非常に鋭利で触れる角度によってはケガをしてしまいます。
作業中は安全を心がけ、ケガの内容に作業することを心がけましょう。
NC旋盤についてのまとめ
NC旋盤の仕組みや、加工方法などを簡単ではありますが解説しました。
ここで改めてNC旋盤でできることをご紹介します。
NC旋盤でできること
数値制御による精密な切削加工
数値制御による安定した品質での加工
プログラムによる連続自動加工
機械の性能も日々進化しており、非常に複雑な形状や、いままで工程を分けなければできなかった加工もNC旋盤1台で加工ができるようになったりしています。
機械の成長とともに、弊社技術者の加工技術も進化しています。
複雑な加工や、一貫生産をお考えであれば、ぜひ株式会社ヤマトにご相談ください。
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